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SDR

SDR(Software defined Radio)といわれるものにはいろいろなタイプがある。
従来の受信機は復調器も含めてすべてハードウェアで構成されていたが、SDRでは特に復調器の部分をソフトウェアで受け持つ。信号の変調,復調は全て数学的に記述できるわけですから,ソフトウェアで演算を行い復調を行うのがSDRである。
製品化されたSDRも販売されているが、自作もいろいろ試みられている。
簡単でポピュラーなものは、受信したい信号を、いきなりミキサーでベースバンドに変換し、パソコンのサウンドボードでデジタル処理をするダイレクトコンバージョンタイプと呼ばれるのもである。

ダイレクトコンバージョンタイプSDRの基本構成例

sdr_schematic

上図はダイレクトコンバージョンタイプSDRのうちクアドラ・ミキサーを使用したSDRの構成図である。
位相が90°ずれた同一周波数のローカル信号で入力信号の周波数変換を行うと,相互に位相が90°だけ異なる,同相(in-phase)I信号と直交(quadrature)するQ信号が得られます。IQ信号が得られれば,どのような変調信号もすべて復調することができます。BPFを通った後,QSD(Quadrature Sampling Detector)という2組のミキサー(直交検波器)に入る。
QSD出力には直交検波出力(I信号、Q信号)が得られる。

ミキサー段で発生する高調波を除去するためLPFを通し、Ampされた後、IQ信号はそれぞれパソコンのサウンドカードの入力端子に入る。
後は、PC内でのSDR用ソフトによる信号処理に移る。ステレオ信号として入力されたIQ信号はADCによりデジタル化され、フィルタリング、復調などの信号処理された後、DACによってアナログ信号に変換される。

・BPFは受信帯域ごと用意する必要がある。簡単にするにはLPFで済ませることもできる。
必要に応じ、アッテネータやプリアンプを付加する。

・ミキサーにはバス・スイッチやアナログスイッチが使われる(フェアチャイルド社のFST-3126、FST-3253、東芝のTC7MBL3245Cなど)

・不要成分除去のためLPFは必須。通常オペアンプで構成する。

・受信周波数(帯域)はローカルOSCの周波数とサウンドボードのサンプリング周波数によって決まり生ます。例えばサンプリング周波数が98KHzのサウンドボードを使用した場合、受信範囲はローカルOSC周波数±48KHzとなります。さらにIQ信号を作るためローカルOSCの位相差90度を得るため必要なローカルOSCの4倍の周波数から4分周して正確な90度位相差を持った信号を作り出します。従って7MHz帯をカバーするにはローカルOSCを28.02MHzとしzサンプリング周波数96KHサウンドボードを使用すれば受信範囲は7002~7098KHz(7050±48KHz)となりほぼ7MHz帯をカバーできる。7MHz新バンドプランもカバーしようとすると単一の水晶発振では無理があり、サンプリング周波数192KHzのサウンドボードを使ってもカバーしきれない。水晶発振の切り替えとか、PLLの使用を考える必要がある。
最近、DDS用に使えるDSPも高周波数までカバーするものがあり、安価に入手できるのでDDSをローカルOSCに使用するのが最良の方法です。

SDR用ソフトウェア

機能(復調モードなど)、UIデザイン、使い勝手など、特徴あるソフトが公開されています。

・HDSDR
http://www.hdsdr.de/
・SDR#
http://sdrsharp.com/
・SDRadio
http://www.sdradio.eu/sdradio/
・SDR Console
http://v2.sdr-radio.com/Download.aspx
・PowerSDR
http://www.flexradio.com/amateur-products/flex-series/powersdr/
・Rocky
http://www.dxatlas.com/Rocky/

DS-DT305BK(ワンセグチューナー ドングル)を利用したSDR

パソコン用のワンセグ視聴USBドングルが安価に入手できます。
いろいろなものが販売されているが、一部にSDRに利用できるものがあります。
具体的には、復調チップにRTL2832Uを搭載し、チューナーチップに以下のいずれかを使用しているものがSDRに利用できます。

DS-DT305BKはこれに該当するということで購入しました。

dt305bk_set 本体

ドングル本体、アンテナ、F型端子変換ケーブル、ワンセグ用ソフト、マニュアルが同梱されています。
SDR化の前に、ワンセグチューナーとして動作するかテストしてみる。
マニュアルに従って、ソフトをインストールし起動するとちゃんと地デジが受信できました。
安価で購入したためと中華製のため少し心配していましたが・・・

TV受信
中身を確認するため分解してみます。
分解
デコードICにRealTech社のRTL2832Uが使われていないとSDR化できません。(ドライバーに、RTL-SDR を使用するため)
分解2 分解4
デコードICはRTL2832U(右の写真)が使われている。このICは地デジ・ワンセグ放送規格であるISDB-T 1-Seg規格だけでなく、欧州で使用されているデジタルテレビ放送のDVB-T規格や、デジタルラジオのDAB,DAB+規格のデコードもできるそうです。さらにFM信号の処理にも対応しています。
これはいろいろなことができそうです。
もう1つのIC、チューナーICにより受信可能周波数が制限される。このドングルにはフェアチャイルド社のFC0013(左の写真)が使われておりスペック表によると50MHz~1700MHzの電波を受信できる仕様のものです。

SDR化の前に地デジTV受信のテストしたワンセグチューナー用ソフトをアンインストールする必要があります。
先にワンセグソフトをインストールした場合SDR化がうまくできない(RTL-SDRドライバーがインストールできない)という情報もあります。

SDR化には
ドライバ(RTL-SDR)
復調ソフトウェア(ソフトウェア受信機)

が必要です。

SDR化

どの復調ソフトを使うか?まずはポピュラーなSDR#をインストールしてみます。
その前にRTL-SDRというUSB用ドライバーをインストールする必要があります。

RTL-SDR(汎用USBドライバー)


具体的には「Zadig」というツールを使ってドライバを仕込みます。
ドライバーをインストールする前にUSBドングルをPCに挿入しておきます。
ドライバーは次のURLから最新版を入手することができます。
http://sourceforge.net/projects/libwdi/files/zadig/

ZIPファイルを解凍し実行すると図のようなウインドウが表示されます。
zadig2
プルダウンから「RTL2832U」を選択し、Driverが「(NONE)」→「WinUSB」となっていることを確認して、「Install Driver」をクリックする。
インストールの確認、デバイスマネージャーを開き、Univarsal Serial Bus deviceの下にRTL2832Uがぶら下がっていればOK。」
deviceMgr

SDR#のインストール


次のURLから最新版をダウンロードし解凍します。
http://sdrsharp.com/
SDR#URL
sdrsharpフォルダーの中の「install.bat」を実行するとconsole画面からインストールされ必要なファイルはすべて「sdrsharp]に保存される。
これでインストールは終了。
sdr#_inst

SDR#の起動

DS-DT305BK(ワンセグチューナー ドングル)を接続しておきます。
sdrsharp.exeをダブルクリックして起動する
sdr#_setup
右のメニューから「Source」タブをクリックしてプルダウンしたリストの中から「RTL-SDR/USB」を選択。 「Radio」タブをクリックし受信したい電波にあわせてモードを選択。上部の受信周波数表示をクリックし希望周波数にあわせます。その他の設定はとりあえず初期値のままで。
上部のPLAYアイコンをクリックすると受信開始します。
付属のホイップアンテナでFM放送を聴いてみました。
fmOkayama 


SDR-HF-001

HF用コンバータ付きのソフトウェアーラジオキットHF版(SDR-HF-001)を入手しました。
キットと言っても基板面の部品(表面実装)すべて実装済です。
表面実装部品の半田付けに自身のない人にはありがたい。

部品面
 
上下ケースと側面パネル2枚が付属しています。

側面パネルはサービスで穴あけ加工もされていました。
組み立ては簡単!
サイドパネルとケースの勘合がきつかったのでヤスってP板を挟んでビス止めで終わり。

USBのTVドングルを使用しているが、ドングルの中は見えません。
無理すれば分解できると思うがやめることにしました。
説明書には、チューナーにはRaphael社のR820T、コントローラにはRealtekのRTL8232Uを使用していると書かれています。
R820TとRTL8232Uの組み合わせでSDRとして使用する場合受信範囲は42MHzから1002MHzになります。
HF帯の受信は50MHzの局発でアップコンバートしドングルの受信範囲まで持ち上げています。

HFとVHF以上の切り替えはサイドパネルのスライドSWで切り替えます。
下駄をはいた50MHzはソフトウェアーで周波数オフセットすれば違和感なく使えます。 ANT入力も前後2つのSMA端子があり、使い分けます。

ソフトウェアのインストールは、取説どうりに進めていけば問題なくインストールできます。

私はDynabook(i5 M560 2.67MHz)/ Windows7(64Bit)にHDSDRをインストールしました。
ドライバー、SDRソフトなどのインストール方法は次のマニュアルをご参考にしてください。

組み立てマニュアル

参考資料(CQ Ham Radio 2014 Feb)