我楽多三昧の備忘録

USBワンセグチューナーとSDR#で受信

安価で市場に出回っている、USBワンセグチューナーは、ソフトウェア―により、V/UHF広帯域受信機になるタイプのものがあります。
デコードICとチューナーICの2つのICで構成されていますが、デコードICにRTL2832U(Realtek社)が使われているものであれば、広帯域受信機になります。チューナーICにはFC0012 、FC0013 、E4000 、R820T などが使用されており、受信周波数範囲、感度などそれぞれ少しずつ違いがあるようです。
RTL2832UとR820Tの組み合わせがベストだということのようですが、手元にDS-DT305BKというドングルがありましたのでこれを利用します。
このドングルにはE4000(Elonics社)というチューナーICが使われており、受信周波数範囲が64MHz〜1700MHz、RFスペクトラムは2MHz幅での受信が可能です。


システム構成

PC
・NEC ValueStar VW-770WG6B(i5 3.2GHz MEM:4GB)
・Windows 7(Home Premium)
USBワンセグチューナー
・DS-DT305BK
アンテナ
・APT-2CP (Woodhouse製)ターンスタイルアンテナ
ソフト
・受信用:SDR# ( http://airspy.com/)
・復調用:KgAPT (http://www2.plala.or.jp/hikokibiyori/soft/kgapt/)

ハードウェア

USBチューナーとPC
アンテナ

SDR#のインストール

*USBワンセグチューナーをUSB端子に挿入しておきます。(TV視聴ソフトがインストールされるかもしれませんが、無視します)
NET.Framework
・SDR#の実行にはNET.FRAMEWORK4.6が必要ですので、マイクロソフトのサイトからダウンロードし、事前にインストールいしておきます。
SDR#をダウンロード
・http://airspy.com/download/ からSDR Software Package(Change log)をダウンロード。
(sdrsharp-x86.zipがダウンロードされます)
・解凍し、生成されたフォルダー(sdrsharp-x86)内のinstall-rtlsdr.batを実行します。(インターネット接続状態で)
 RTLSDRドライバーがダウンロードされます。
Zagigを使ってドライバーをインストール
・同じフォルダー内のzadig.exeを実行します。

zadigダイアログ内のプルダウンメニューから「RTL28932U」を選択しInstalボタンをクリックします。

リストに「RTL28932U」がない場合は、メニューのOption→List All Deviceをクリックするとリストに現れます。
・デバイスマネージャーでドライバーがインストールされているか確認します。

このようになっていると正常にインストールされています。

仮想ステレオミキサーのインストール

SDR#(広帯域受信機化)とKG-APT(復調ソフト)を使ってNOAAの信号を復調するには、
SDR#の出力(サウンドボードからのオーディオ出力)をKG-APTのオーディオ入力に引き渡す必要があります。
簡単には、PCの入出力端子をケーブルで接続すればいいのですが、少し不細工になります。

ステレオミキサーが搭載されていれば、外部結線しないでもPC内部で処理できます。このValueStarにはステレオミキサーが搭載されていないので、仮想ミキサーをインストールします。
・NETDUETTO βに付属する仮想サウンドカードを使用します。(NETDUETTO β自体は使用しません)
http://netduetto.net/download/
そしてミキサーとして「アマミキ」というソフトを使用します。 「アマミキ」はPC上の音声をとりこんだり、とりこんだ音声を配信などに使うことができ便利です。
http://www.amarectv.com/
このソフトを使ってPC音を取り込み、仮想サウンドカードに流し込みます。
・アマミキのインストール方法については、こちらのサイトで詳しく説明されていますので、ここでは省略します。
http://3pypromo.blog.fc2.com/blog-entry-102.html
・正しくインストールされると下のようになります。
これで、PCの内部でSDR#の出力をKG-APTの入力に流し込むことが出来ます。

KG-APTのインストール

ダウンロードとインストール
http://www2.plala.or.jp/hikokibiyori/soft/kgapt/からKG-APTをダウンロードし、解凍します。
解凍で生成されたファイルを適当な場所に移動すればインストールは完了です。

NOAAの受信

軌道の確認
・現在、アクティブなNOAAは15号、18号、19号です。
NOAA15 137.62MHz
NOAA18 137.9125MHz
NOAA19 137.10MHz
軌道計算ソフトなどであらかじめ飛来時間を確認しておきます。
アンテナについて
・チューナーにアンテナをつなぎます。
このシステムでNOAAからの信号受信の成否を分けるのがアンテナです。
アマチュア無線の144MHz用アンテナでも代用できますが、出来れば専用アンテナを用意します。
1.NOAAからの電波は137MHz帯ですので137MHzに同調したアンテナ。
2.NOAAの電波は円偏波ですので、できれば円偏波アンテナがよい。垂直偏波のアンテナなどでは受信信号の変動が大きくなります。
3.天頂付近(高仰角)でのゲインが落ちないアンテナが必要です。
144MHz用コリニアアンテナも使ってみましたが、低仰角時のゲインはありますが、天頂付近では受信画像にノイズが出ました。
という条件を満たすアンテナとしてはターンスタイルとかQFHアンテナなどが候補になります。
オスカーハンターのようなクロス八木でNOAAを追尾する方法もありますが、低軌道のため移動スピードが速く、余り現実的ではありません。
また、八木アンテナの高ゲインも必要ありません。
今回は、ターンスタイルアンテナAPT-2CPをつなぎます。
SDR#の起動と設定
SDRSharp.exeを実行し、左のドロップダウンメニューから、必要な項目を設定します。
・「Source」から「RTL-SDR/USB]を選択します。
・受信周波数をNOAAの周波数に合わせます。
・「Radio」からモード「NFM」を選択
・「Radio」の「Bandwidth」を30Khz以上にします。

帯域は受信画像の品質に影響します。(狭いと階調が荒くなる) NOAAの信号を忠実に復調するには30~50KHzの帯域幅が必要です。
SDR#のNFMモードではMAXで32KHzまでの帯域になるようです。(それ以上広く出来ません)
それでも、IC-910のFMモード(15KHz)に比べれば画像の品質は格段違います。
・「Audio」の「Output]を「ライン(Yamaha NETDUETTO Driver)」を選択します。(仮想ミキサーの場合)
・SDR#の受信をスタートします。(上部の▲をクリック)
KG-APTの起動と設定
KG-APTを起動し必要項目の設定をします。
・まず、メニューの「軌道設定」タブを選び、「受信位置座標」で緯度、経度を入力します。
または、プリセットで市名を選択します。
・ネット接続状態で「軌道要素」の更新ボタンをクリックします。自動で、CELESTRAKのサイトから最新の軌道要素をダウンロードし更新します。
・「自動軌道要素更新」にチェックを入れておきます。
・「入力設定」タブから「入力デバイス」を設定しますが、SDR#の「Audio」→「Output]で指定した「ライン(Yamaha NETDUETTO Driver)」にチェックを入れます。
・後は、実際にNOAAの信号を受信しながら「信号利得」で入力レベルを最適(バーグラフの緑色の範囲)に調整します。
入力調整は低すぎても、高すぎても正しく復調できません。シビアに調整します。
必要な場合は「Windowsのサウンド設定」ボタンをクリックし、Windows側のサウンドレベル調整を行います。

受信、復調の様子

PCの画面構成
NOAA19号
復調画像の最上部付近は仰角0°付近の画像です。
S/Nは悪いですが10°くらいまでは実用範囲?

気がかりだったこと

1.受信感度
USBドングルの受信感度はどの程度のものか? プリアンプが必要ではないかと考えていましたが、
APT-2CPアンテナを使用して、137MHz帯のNOAA受信する場合は、不要です。
当然、使用するアンテナにより左右されますので、他のアンテナを使用する場合、考慮する必要があるかもしれません。
2.周波数安定度
同期がかかりずらいのではないかと心配していましたが、IC-910、TM-D710などのアマチュア無線機と比較しても 遜色なくむしろ安定して同期がとれました。受信時10分くらいエージングして使えば全く問題ありませんでした。
3.ATP-2CPの性能
特に低仰角時の感度も思っていたよりも良好でした。仰角10度くらいでは十分実用になりました。
逆に天頂付近でも感度が低下することなく安定して受信できました。


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