我楽多三昧の備忘録

気象観測衛星 NOAA

NOAA

気象衛星NOAAはNASAによって開発された気象観測衛星(地球観測衛星とも言われている)で、NOAA(国立海洋大気圏局:National Aeronautics and Oceanic and Atomospheric Administration)が管理運営を行っており、気象観測用の雲画像 などの種々の気象観測データ、地表の植生の分布状況の観測、オゾンホールの観測や海流、海面温度、火山活動等の観測を行いデータを提供している極軌道衛星です。(http://www.noaa.gov/)。

軌道は地上約870Km、赤道に対する傾斜角はほぼ90度(270度)で、約105分で地球を1周しており昼間、夜間と1日2回(2時間帯)飛来してきます。軌道は東西方向に少しづつ移動し、地球全体を観測しています。受信できる時間は、受信設備やその時の軌道により差がありますが、一度の飛来で約10~15分間くらい受信できます。
いつ、どのNOAAが、どの方向にやってくるかはリアルタイムな軌道を計算して確認しなくてならなりません。その計算のための軌道要素はCelesTrakなどから入手できます。
また、非常に使いやすいの軌道計算、位置表示ソフトが公開されているので、それらを利用します。(Calsat32など)

現在、運用中のNOAAはNOAA15、NOAA18、NOAA19の三機でそれぞれ、AVHRR (Advanced Very High Resolution Radiometer, 改良型高解像度放射計) という光学センサーで取得したデータを、VHF帯とUHF帯を利用し、二種類の方法で、リアル タイムに地上に送信しています。

NOAAの光学センサーで観測できる対象

センサーCH 観測する対象 観測光 波長(μm)
(昼) 雲、雪、氷 可視光 0.58~0.68
(昼) 雲、雪、植物 近赤外線 0.725~1.10
3A (昼) 雲、雪、地表 近赤外線 1.57~1.64
3B (夜) 雲、熱源 中赤外線 3.55~3.93
雲、海面温度 遠赤外線 10.30~11.30
雲、海面温度 遠赤外線 11.50~12.50

AVHRRで各種地表データを観測、取得しながら、送信しながら飛行しているため、受信地点に飛来してくると、そのときの取得データをリアルタイムに受信することができます。
二種類の方法のうち一つは、空間分解能 1.1km の AVHRR データをそのままデジタルデータとして 伝送する HRPT (High Resolution Picture Transmission, 高解像度伝送)、もう一つは空間分解能を 4kmに落としファクシミリ信号のアナログデータとして伝送する APT (Automatic Picture Transmission, 自動画像伝送) です。
APT は 137MHz帯を使用しているので、無指向性アンテナと安価な受信機で受信ができますが、HRPT は 1.7 GHz帯 なので、パラボラアンテナと専用受信機が必要となります。

APTの方が簡単な受信設備で受信できる。

NOAAの伝送方式

伝送種類 観測幅 空間分解能 データ 変調方式 送信周波数帯
APT 2700km 4.0km アナログ SCFM
(副搬送波周波数変調)
VHF(137MHz)
HRPT 2800km 1.1km デジタル PM
(位相変調)
SHF(1.7GHz)

APT(Automatic Picture Transmission)

APTは自動画像送信と呼ばれるアナログ画像システムで、サブキャリアー(2400Hz)をベース信号で振幅変調(AM)する。その振幅変調された信号でキャリアー(137MHz)を周波数変調(FM)し、SCFM信号として送信する伝送する方式です。ファクシミリと同じ方式です。
apt

現在運用中のNOAAとその周波数(APT)

NOAA15 137.62MHz
NOAA18 137.9125MHz
NOAA19 137.10MHz

受信システム

NOAAから送信された137MHzの電波(SCFM)を受信しSCFM波を検波し2400HzのAM変調波を得る。
受信機の音声出力をパソコンのマイク端子又はラインイン端子からサウンドボードに入力する。
信号処理ソフトにより復調し画像データを生成する。

apt_block

NOAA受信に必要な設備

1.アンテナ
137MHz帯が受信できゲインの取れる指向性アンテナ(クロス八木など)で常にNOAAの方向を向くよう自動追尾できればベスト。ゲインがあっても自動追尾できなければ使い勝手が悪い。
NOAAからの電波は円偏波(右回転)なので円偏波アンテナがを選ぶこと。無指向性の円偏波アンテナとしてはQFHアンテナ、ターンスタイルアンテナなどがある。
簡単に受信するにはアマチュア無線(144MHz)用のGPアンテナ、ディスコーンアンテナ、J型アンテナなどが流用できます。
2.受信機
137MHz帯をカバーする広帯域受信機(FMモードが受信可能)でFMの通過周波数帯域幅はドプラー効果などを考慮して30~50KHz位が必要です。
アマチュア無線用(144MHz)トランシーバーを改造して137MHzをカバーする方法もあるが、帯域が15KHz程度なので良好なS/Nは期待できない。
NOAA専用の受信機の自作もさほど難しくはありません。
3.パソコン
古いローススペックのものでも良い。(WindowsXPが動作する環境があれば十分)画面の大きさは1024X768位でOK。
飛来時刻を予測するため常に最新の軌道要素を入手する必要があるためインターネット接続できなければ不便。
信号処理にはサウンドボードを使うためサウンドボード(サウンドカード)が搭載されていることが必要。
サンプリング周波数は48kHzのものでOK。(IQ信号を使用する場合は96kHz 以上が必要。)
4.ATP信号処理ソフト
定番はWXtoImgがよく使われている。
KgAPTは初期設定および操作が簡単で、待ち受け自動受信が可能でなすばらしいソフトです。
WxToImgのように受信信号に含まれるデータを利用して画像加工、画像分析などはできない。
5.衛星軌道計算ソフト
WXtoImg、KgAPTにはそれぞれ自身で軌道計算、予測をしますが、単独でも数多くのソフトが公開されています。機能豊富で使いやすいのはCalsat32です。

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