原種バラはモダンローズのもとになった野生バラで、約200種類あると言われています。
現在鑑賞しているバラはその原種バラの中の10数種類から誕生したと言われております。
ヨーロッパ、アメリカ大陸、中国、西アジア、そして日本にも原種バラはありますが、特に中国南西部から西アジアにかけて多く存在しています。
オールド・ローズは、一般には1867年(最初の現代バラ「ラ・フランス」作出)以前のものを指します.時代や地域により、さまざまな品種があります。>
古くは紀元前から栽培されていた系統で、中南部ヨーロッパと西アジアの原種との自然交配によって生まれたといわれています.ガリカには枝や花に強い香りがあることから、観賞用だけでなく、香料としての栽培が盛んだった.赤紫系の色彩のある花はガリカ系だけで、現代のバラに大きな役割を果たしています.<代表種>シャルルド・ミル、ロサ・ムンディ、カマユーなど.(主流は16世紀~)
起源は不明だが、西アジア周辺では、ガリカと同様、紀元前から栽培され、主に香料の原料として盛んに作られました.ヨーロッパには、十字軍の中近東遠征の時に持ち込まれたものが多くあります.代表種:マリールィーズ、ヨーク・アンド・ランカスター、マダム・ハーディなど.(主流は16世紀~)
中部ヨーロッパに自生する「カニナ」が自然交雑によって生まれたもの.花色は白と淡いピンクが大部分を占め、枝もほとんどが純緑色.純粋で上品なイメージを持っています.この系統は生命力が強く、日当たりの悪いところでも栽培可能.<代表種>ジャンヌ・ダルク、アルバ・マキシマ、ソフィド・バビエールなど.(16世紀~)
コーカサス地方を中心に、ガリカとダマスク、またはアルバが自然交雑を繰り返して生まれた系統.枝分かれが少なく、ゆったりとした伸び方をします.花はキャベツが開いたような形で、花弁数が多い。<代表種>シャポー・ド・ナポレオン、ロサ・ケンティフォリア・プラータ、ジュノーなど.(16世紀~)
ケンティフォリアの突然変異によって生まれたものとされ、花首からガク片にかけて苔に似たトゲと毛が密生しています.花が咲くときこの苔が絶妙な香りを引き立たせるため19世紀に盛んに栽培された.四季咲き性の品種もいくつかあります。代表種:ルイ・ジマール、サレット、ジェイムズ・ミッシェル、ゾエなど(16世紀~)
名前の通り、中国原産のバラ.中国ではかなり古くから園芸化していて、ヨーロッパに導入された頃はブッシュ形態が確立していました.完全四季咲き性が多く、その後のバラの品種改良に大きく貢献しました。一季咲きのヨーロッパのバラに四季咲き性という画期的な系統を生み出したのです.<代表種>オールドブラッシュ、ロサキネンシス・ジャックイン(コウシンバラ)、ブレイリーNo2.
中国中南部原産一重咲きの野生バラ.花色、葉色、果実など、最も美しい野生バラといわれています.この系統を改良しようとする試みはかなり行われてきましたが、あまり成功しませんでした.原種に近い種が今でも愛栽されています.代表種:スペルバ、ロサ・ハイドネンシス、エディス・クリムソン.
19世紀の初め、アフリカのマダカスカル島で、秋も咲くバラが発見され、ヨーロッパで改良されました.全体的に大輪で
ムスクとチャイナとの交配によって作出された四季咲き性の系統。ほとんどの種が小輪の房咲き種で、花色も白やピンクが大部分を占めます.秋に咲く物が多くあります。この系統が、後のティ・ローズを誕
四季咲き性のダマスク、ガリカの系統が最初に交配され、のちに中国の茶の香りのするバラと交雑を繰り返して、イギリスで生まれた系統です。優れた花を持ち、四季咲き性もあるので、よく栽培されました.英国領主夫人の名をいただいています.
ティー・ローズはバラのさまざまな交配により、初めて木立性の四季咲き種として確立しました.チャイナの血統が濃く、トゲは少なくなり、コンパクトで、現代のバラに極めて近い品種です.これまでになかった「黄色」などの花色の幅も広がりました.しかし、性質が弱いという欠点も見られました.ノワゼットとブルボンにそれぞれチャイナが交配され、生まれたものに戻し交配(バック・アタック)することで、さらに確かなものへと改良されました.19世紀後期、この系統に「ロサ・ギガンティア」の種が交配され、完全な高芯剣弁形のティ・ローズがつくられました.この種とハイブリッド・ペーパチュアルとの交配により生まれたものが「ハイブリッド・ティー」です.ティー・ローズは現在日本には数えるほどの品種しかない貴重なものです.しかし、現代バラの先駆けとして知られています.ティの名は、バラの花が茶の葉をもんだときのような香り(紅茶の香り)を持つことから名づけられました.
現代バラの性質にかなり近い系統でモダンローズの仲間に入れられていました。主にブルボン、ポートランド、チャイナの交配によって作出されました.品種はさまざまで、四季咲き性のあるものないもの、木立性や半つる性など、性質はいろいろです.この系統は、ティ・ローズと交配され、現在のハイブリッド・ティーの親になります.<代表種>オスカー・コーデル、ミセス・ジョン・レィング、ヘンリー・ネバード.
四季咲き大輪系の木バラで一茎に一花を咲かせるのが一般的です。色が豊富にあり、よい花形が多く、香り、品種の多さも他の系統より優れています。露地では5月~11月頃まで次々と花を咲かせます.花の直系はだいたい10cm以上の大輪、八重咲きがほとんど。木の高さは1~1.5mが中心。花壇、鉢植え、切花など用途も広い。
四季咲き中輪房咲き種の木バラでハイブリッドティーに比べると香りのあるものは少なくなります。大輪系よりも花付がよい。花数が多く、花1本1本を楽しむよりも、樹全体に咲く花を見て楽しむ系統。 直径5~8cmの中輪の花をつけます.木の高さはHTに比べてやや低く、60~120cm位に育つ。丈夫で花色が豊富な上、四季咲き性が強く、次々に咲くので、花壇には最適。
極矮性四季咲きの小輪咲きバラ。花色が豊富で、花持ちがよい.コンパクトなので、鉢植えにも向き、窓辺のインテリアとしてもつかえます。
日本の野いばらとロサキネンシスの交配種で小輪種です。ミニアチュア系のもとになったバラ。
この系統は、主にオールドローズ、ワイルド・ローズ、およびハイブリッド・ティなどによる交配によって作られました.性質的には実用的で優れています.日本のノイバラの系統も加わり、房咲き性に優れ、四季咲き性のものもかなりあります.この種はつるバラに分類されたり、シュラブローズに入れられたりすることもあります.<代表種>ロサ・モスカータ、コーネリア、ペネロープ、フェリシア.
ロサ・ルゴサ(ハマナス)は北中国、朝鮮、日本にもある原種で寒さに強く、北国での栽培に耐寒性を持つ品種を作出すべく、交配が試みられました。H・ルゴサは四季咲き性にも優れています。<代表種>アグネス、シュネーリヒト、オランディカ。
優美でクラシカルな花形と気高い芳香を併せ持つオールドローズの現代版とも言うべきバラ.イギリスのディビット・オースチン氏が苦労を重ね、四季咲き性を持つ丈夫で理想的なバラの系統を確立しました。花色も豊富.ERは、オールドローズのクラシカルな花形と芳香と、四季咲きである現代バラのよいところだけを併せ持つ理想のバラ.
大輪咲き系や小・中輪の花をたくさんつけるランブラー系など種類が豊富にある。フェンスやアーチ、ポールなどに這わせることで、庭や花園を華麗に演出することが出きます。つるバラは一般にとても丈夫で、よく伸びます。1年間に5m以上伸びる品種もあるので、植える場所をよく検討しなければなりません。ほとんどは春にしか咲きません。
小輪一季咲きつるバラ。本来からつるバラとしてあるもので、6月ごろ小輪の花が房状に咲く.ドロシー・パーキンス、タウゼントシェーン、クリムソンシャワーなどがあります.
大中輪咲きつるバラ。これも本来のつるバラ.R種よりも大きい.大部分は一季咲きだが、新しい品種には四季咲きのものもあります.
多花性で、手間がかからず、耐病性に優れている.樹形は多様で、鉢植えや花壇に用いられる以外に、グランドカバーとして、公園の植栽などで幅広く使用されます.手入れが簡単です.Shrub rose(シュラブ)とも呼ばれています.
ハイブリット・ティー、フロリバンダ、ミニチュアなどの株から、枝変わりによってできたつるバラで、品種名の頭にClの文字をつけて、クライミング・ピースなどと呼ぶ.四季咲き性のものも多い。