最近、Nano VNAというものが話題になり安価な製品も多く出回っています。従来の感覚ではVNAは非常に高価な計測器で職場に追加導入するにも予算がつかず四苦八苦した思いがあります。
ところが、ある日本の方が簡易的でしかもアマチュア的には十分実用になる手のひらサイズのVNAを開発され、オープンソースとして公開されました。
その後、中国で製造販売され市場に多く出回るようになりました。
以前から興味はあったのですが、今回その中華製VNAを入手することができました。
Nano VNAといってもいろいろなバージョンがあるようですが主にはLCDパネルのサイズと測定可能周波数帯域の違いが主なバリエーションになっています。
タイプ | 主な仕様 |
Nano VNA | 2.4"LCD 300MHz |
Nano VNA | 2.8"LCD 900MHz |
Nano VNA-H | 2.8"LCD 900MHz |
Nano VNA-H4 | 4"LCD 900MHz |
Nano VNA-F | 4"LCD SDカード対応 900MHz |
S-A-A-2 | Nan VNA V2 ハードウェアーが異なる 3GH対応 |
入手したのは2.8"、900MHzタイプのものです。
寸法は約10cmx6cmx1.5cmと本当に手のひらより小さく名刺サイズという感じです。リチュームポリマー電池が内蔵されており屋外での使用も可能です。2.8インチのタッチパネル式のため、指の大きい私には操作は若干やりにくく、タッチペンがあればスムーズに操作できます。
1ポートデバイス(アンテナなど)および2ポートデバイス(フィルターなど)の
・反射係数
・伝達係数
・複素インピーダンス
・定在波比
などが測定できます。具体的にはアンテナのインピーダンス、SWRやフィルターの周波数特性、挿入ロスなど、いわゆるアンテナアナライザーとして使用するのがアマチュアに身近な使用方法です。
操作は、すべてメニュー画面から入っていきますが、多機能なためメニュー階層が深く慣れるまでは希望機能の呼び出しに苦労するかもしれませんが慣れれば簡単です。
ただ、メニューに標記されている内容の意味するとこがよくわからない点もありました。このVNAには取扱説明書が添付されていません。
NETを検索してみるといろいろな情報が掲載されています。きちんとした日本語マニュアルもありましたので参考にさせていただきました。全容を理解すのに大変助かりました。
https://cho45.github.io/NanoVNA-manual/
精度よく測定するには較正することが必要です。特に測定範囲(周波数)を変更した場合は必須となります。
較正データは5パターンまで保存することができ、後で読み出して使用することができますので、アンテナの特性測定などよく使う周波数帯を決めて較正データを保存しておけば再利用でき便利です。
較正には付属の個性キットを使います。
メニューに示される順番に従ってOPENから順番に較正していきます
HFトライバンドロータリーダイポール(730V)のSWRを測定してみます。
NanoVNAはスタンドアローンで軽快に使用できますが、PCとの連携アプリを使いさらに便利になります。
NanoVNAと連携するアプリは何種類か公開されています。
Windowsで動作するものとしては、
・NanoVNASharp
・NanoVNASaver
・TAPR VNAR4.5
・AntScope2
などがあります。
ダウンロード先は
https://oristopo.github.io/nVhelp/html/software.htm
環境にあったファイルをダウンロードします。Windowsの場合は「NanoVNASharp MOD v3」をダウンロード
ダウンロードしたZIPファイルを適当なフォルダーにおいて解凍するとEXEファイルができます。(NanoVNA.exe)これをダブルクリックすると起動
操作は本体とほぼ同じです。
周波数範囲設定、較正の後アンテナを接続し「Get Data」をクリックするとデータを取り込みます。
あとはチャート画面でチャート種類を選択、目盛り軸を調整し見やすいチャートにします。
データの保存、チャート画面のキャプチャーも可能です
730V全バンドのSWR
730V 14MHzのSWR
730V14MHzのスミスチャート