我楽多三昧の備忘録

ターンスタイルアンテナの自作

ターンスタイルアンテナ

衛星からの距離が近くなると信号強度も上がるとは限らない。アンテナの指向性によっては逆転現象が起こる。衛星からの距離が近くなるということは衛星が真上にやってきたときであるが、現用のコリニア型アンテナは元々水平方向に指向性が強く、垂直方向からの電波は受けにくい特性があるため真上にやってきたとき信号強度が落ち、ノイズをかむ場合がある。受信点より離れた場所はきれいな画像が得られるが肝心の受信点付近の画像はノイズが現れ面白くない。

もうひとつの問題は、NOAA からは137MHzの右回転の円偏波が送信されているということである。コリニア型アンテナは垂直偏波であるため偏波面ロスが発生し、信号強度も不安定になることである。

ターンスタイルアンテナはワイヤーアンテナ(構造、製作が簡単)の中で 円偏波の特性を 持つアンテナである。 2組のダイポールアンテナを直角に配置し、互いに90度位相をずらして給電することで、円偏波がえられる。 位相の進み遅れにより、 右旋偏波と左旋編波を作り出せる。90度位相をずらすには、位相器 (Phase Shifter)を用いたり、2組ダイポールの間に1/4波長分の同軸ケーブルを 挿入して位相のずれを作り出すなどの方法がある。

ターンスタイルアンテナの特徴
構造・動作原理  2組のλ/2ダイポールを直交させて配置し、他方をπ/2だけ位相をずらして給電する 
指向性  水平面内=ほぼ無指向性 垂直面内=ほぼ無指向性 
偏波面  水平(円偏波) 
インピーダンス  約 73 Ω λ/2ダイポールと同じ 
利得・実効長  -0.85 dBi 2組のダイポールに半分ずつ分配するため  
電流分布  各アンテナについては、λ/2ダイポールと同じ 
周波数帯域  λ/2ダイポールと同程度  
   

このようにターンスタイルアンテナは簡単な構造で、水平、垂直方向とも無指向性で円偏波が得られNOAA受信用として考えると衛星の高度が低く水平線近くにあるときは受信できにくいが、真上付近にやってきた時に効果があると思われる。さっそく試作してみる。 

ターンスタイルアンテナの試作


給電と90°移相の構造


構造

エレメントは144MHz用八木ANTの残骸(φ10mmのアルミパイプ)を使う。
エレメントの長さは540mmで先端で調整できる構造にする。(先端にφ8mmのパイプを挿入、ビスで圧着
90度移相は片方のダイポールに1/4λの同軸ケーブル付加する方法で行う。


エレメントの寸法図
寸法図

エレメント配置図
配置図

構造のイメージはこんな感じ。
ant1

先端は長さ調整ができる構造にする。
NOAA受信専用に使うのであれば、137.5MHzに合わせ無調整でも問題ない。
長さ調整
各エレメントはプラスティック製「まな板」(百均で購入)を加工し対角線方向に配置、ビス止めする。
まな板
給電用同軸ケーブルと移相用同軸ケーブルの先端を圧着端子で加工しポールの下から挿入する。
同軸挿入
各エレメントと同軸の先端の接続先を間違わないようにビスで共締めする。
ここでの接続を間違えるとターンすタイルアンテナとしての動作をしないので要注意
接続
最後に防水対策としてCRC-556のキャップをかぶせ周囲をレジンで固めて完成。
防水対策
物干し竿を利用ししベランダの手すりに固定、エレメントは屋根から突き出しほぼ360度見渡せる位置である。
設置
肝心な受信性能だが、コリニア型と比較し定量的に評価する腕も設備もない。同軸切替器でANTを切り替えながら実際にNOAAを受信してみた。予想どおり感度は確実に下がった(特に低高度時)が天頂付近に来たときのノイズは少なくなった。高度30度付近からは安定して受信できる。


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