インドネシア・ジャワ島の仏教遺跡
ボロブドゥール寺院 (Borobudor Temple)
ボロブドゥールはジョグジャカルタ市街の北西約40キロメートルに位置する、世界最大の仏教遺跡で、
8~9世紀のシャイレーンドラ朝時代に、大乗仏教を保護したシャイレーンドラ朝の王によって建設された山岳寺院です。
10世紀にはジャワ中部のムラピ火山が大噴火を起こし、人々が住めない状況となり、ボロブドゥールの存在も忘れられてしまいましたが、
19世紀にイギリスのラッフルズによって密林に埋もれた遺跡群が再発見され、その後はオランダ人によって修復が進められました。
最近ではユネスコの管理で修復工事が行われ、その構造や建築技法の全貌がが判ってきました。
ボロブドゥールは信仰の対象とされた建造物ですが、その内部には空間がないのが特徴で、全体が黒みがかった200万個もの
安山岩のブロックを積み上げ作られています。仏教建築の最高傑作とされています。
世界遺産にも登録されています。
夜明けのご来光が素晴らしいということで、3時半に起きてホテルを出発、ゲストハウスのような所で手続きを済まし頂上を目出し上りましたが、あいにくの曇り空でご来光は拝めませんでした。
ボロブドゥールには32基の獅子(ライオン)像があります。
仏教では獅子はブッダが天国に昇るための乗り物とされています。
また、不快な悪魔から防護する役を担っています。
ボロブドゥール遺跡の全景
最下壇(土台)は一辺115mの正方形で、高さは35mあります。
いちばん下に一辺が約115mの方形の基壇があり、その上に基壇と相似形の5層の方形壇、さらにその上に3層の円形壇があり、全体で9層の階段ピラミッド状の構造となっています。この3層構造は、仏教における世界観である三界(欲界→色界→無色界・・・曼荼羅)をあらわしていると考えられています。
すなわち、最下壇は「淫欲と食欲の2つの欲望にとらわれた有情の住む処。六欲天から人間界を含み、無間地獄までの世界」とされる欲界。
次の正方形壇は「欲界の2つの欲望は超越したが、物質的条件(色)にとらわれた有情が住む世界」とされる色界。
その上の円形壇は「欲望も物質的条件も超越し、ただ精神作用にのみ住む世界であり、「禅定」に住している世界」とされる無色界を表現しています。
このように、ボロブドゥール遺跡は、それ自体が仏教的宇宙観を象徴する巨大な曼荼羅といわれ、一説には、須弥山を模したとも言われています。
案内板

遺跡の断面図
出典:Wikipedia英語版(英語表記を和訳した)
仏塔 (主ストゥーパ)
頂上にはメインストゥーパがあります。
メインストゥーパは小ストゥーパのように側面に穴は開いていません。(メインストゥーパを取り巻く小ストゥーパには正方形や菱形の穴(窓)が開いています。
中には空っぽの部屋(空間)があり、この中心塔には大日如来を置かず空洞のままになっています。これは大乗仏教の真髄である「空」の思想を強調しているとされています。
先端には、現在避雷針のような柱が設置してありますが、本来は相輪が設置されておりましたが、現在はありません。全体の高さも41m位あったそうです。
小ストゥーパ
主ストゥーパの周りの円形壇には72基の小ストゥーパが取り囲んで配置されています。
72基のストゥーパは3重円上に、上から16基(8壇目)、24基(7壇目)、32基(6壇目)並んでいます。
ストゥーパは側面(釣鐘状になった部分)に正方形の窓があるもの(8壇目)と菱形 の窓があるもの(7壇目、6壇目)の2種類ありますが、正方形は安定した賢者の心、菱形は不安定な俗界の人の心を表しているそうです。
最上段中央の大ストゥーパには窓がなく、これは迷いのない「無」の状態を表すそうです。
中にはそれぞれ仏像(釈迦如来)が安置されています。
7壇目に一基だけ釣鐘状の覆いの無いストゥーパがあり、釈迦如来をよく拝観できます。
レリーフ
方形壇に回廊になっており、壁面には仏教の歴史、教えを題材とした精巧なレリーフが2500面以上もほどこされ、その総面積は2500平方メートルにもおよびます。
ゲストセンターに戻り朝食
無事、ボロブドゥール遺跡ツワーを終了。