我楽多三昧の備忘録

acars

ACARS(Aircraft Communications Addressing and Reporting System)とは航空機と地上管制塔の間で運行情報などの情報を無線により送受信するデータ通信システムのことである。
出発・到着時刻や出発地・目的地,便名,搭載燃料などのデータはデータリンクの無線通信系を介して地上のACARS無線局に送信される。
このデータは無線局から中央の処理装置に伝送され,電文型式にフォーマット変換された通報は,ARINCの交換装置を介して各航空会社のコンピューター・システムへ直接伝送される。
データ通信の内容としては,上述のほか最新の気象情報やフライトプランデータの送付,航空機の故障情報などの送付が可能である。

運用周波数

無線通信に使用する電波はVHF帯のAM波が利用される。

周波数 電波形式 対象地域
131.450MHz A2D 日本周辺
131.250MHz A2D 国内航路中心
131.550MHz A2D アメリカ地域/1ch
130.025MHz A2D アメリカ地域/2ch
129.125MHz A2D アメリカ地域/3ch
131.725MHz A2D ヨーロッパ地域

・上記周波数は「周波数表2014-2015」(三才ブックス)より引用
131.450MHzと131.250MHz以外は実際に受信していない。

・電波形式:A2Dとは両側波帯を有する振幅変調で、副搬送波を利用するデジタル信号の単一チャネルのもので、伝送する情報が、データ伝送・遠隔測定・遠隔指令などに利用されるもの。

電波の詳細

伝送する種々の情報は次のような方法でデジタル化され搬送波を変調し、送信される。

デジタルデータの要素 内容
電波の形式 A2D (旧表記ではA2)
送信電力 地上局:20W (5Wの局もある)
変調方式 MSK(Minimum Shift Keying)
(変調指数m=0.5 のFSK)
キャリアー周波数 2400Hz
ビットレイト 2400bps
レコード長 7 bit+1 parity
符号化方式 NRZi

受信し、データ解析するには
・エアーバンド(131MHzのAM)が受信できる受信機とアンテナ
・デコーダー(デコーダーソフト)
・パソコン(サウンドボード)

受信機の周波数を上の周波数に合わせると「ピッ」「ギャー(ザァー)」という信号音を聞くことができます。データ信号は暗号化されているのではなく、簡単にデコードすることができます。その信号を解析したものの例を下に示します。便名や機材の登録記号などが分かると思います。

このACARSの信号を解析するには、上のデジタルデータをデコードできるモデムが必要となるが
最近ではPCのサウンドボードを利用して復調するデコードソフトが開発され公開されているので、そちらを利用させてもらうのが手っ取り早い。

受信してみる

エアーバンド用の受信機を購入したいが、その前に現有設備でテストすることにする。
・受信機 VX-2

スタンダード製の超小型ハンディートランシーバー(144/430MHz)だが、ワイドバンド受信が可能で、エアーバンドも一応受信できる。
オーディオ出力は、イヤフォン端子からとるが、この端子はマイク端子と共通(3PINのM3)になっており、オーディオ出力に、DCが重畳されいるため、コンデンサでカットする加工が必要がる。
プラグのキャップ内に10μF電解コンデンサを直列に挿入する。
・アンテナ 144-430-1200MHzコリニアアンテナ
ダイヤモンド製トライバンダー・・・昔1200MHzFMで使っていたものを流用する。
このタイプのアンテナは帯域が狭いので131MHzではゲインが相当落ちると思われるが、モービルホイップよりまし!?。
地上局からの電波はともかく、上空10Kmを飛んでいる航空機側からの電波は結構広範囲を受信できる。
・パソコン
Panasonic Let's Note(CF-W8)
OS=Windows 7 Professional (32Bit)
・復調ソフト
KG-ACARS、WACARSなどあるが、WEBでもよく使用レポートされているKG-ACARSを使うことにする。
KG-ACARSのダウンロードはこちら
KG-ACARSはVHF帯のACARSの電波を解析し、航空機のフライトナンバー、航行状況、位置情報、気象状況などの情報を表示し、また航行状況(位置、高度)を画面地図上にグラフィカルに表示することができます。
・インストール
KG-ACARSをダウンロードし、Zipファイルを適当なフォルダー(インストール先)に置き、解凍するだけで完了。
KG-ACARSにはインストールから、操作方法まで詳しく書かれた取扱説明書(readme.txt)が添付されており、これを読めば他に説明は不要と思われる。(一読してください)
・受信
解凍された実行ファイルをダブルクリックでKG-ACARSを起動すると、デフォルトのままで受信、解析、表示が始まります。
画面右上の部分のウォーターフォールが流れ、その下のウインドウに、解析された情報が、次々と表示されます。

注意点は、「ウォーターフォール」窓の横に表示される制御状況を確認することです。特に一番左の「OVR]のランプが赤く点灯、点滅しないよう監視が必要です。赤く点灯する場合は、オーディオ入力レベルが過大入力になっており、正しく復調できない可能性があるため、調整が必要です。
調整は、サウンドボードの入力調整か、無線機の音声出力VRで行います。
正しく、受信解析が行われている場合は、隣の「SYN]と「RCV]のランプが青く点灯します。

解析データの表示例

・マップ表示・・・航空機のフライトナンバーと地図上に航行経路が表示される
・高度表示・・・・航空機のフライトナンバーと高度が表示される(マップの下)
・ポジションレポート・・・フライトナンバー、高度、温度、風向、風力を表示(右側)
・テキスト表示(別ウインドウ)・・・解析データをテキストで表示、ログ記録も可能

ログの例

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